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2008年7月26日 (土)

「武家用心集」 乙川優三郎

Photo集英社文庫 543
2006/ 1/25
1

2007/12/ 8 3

20038月 集英社刊行
短篇8編収録


この著者 2作品目の本。

新聞?か、あるいは電車中刷り?で発見し購入。

8編どれもこれも納得の作品。

タイトルどおり、全て武家ものだが、現代に共通する社会問題ばかり。
「人とは如何なるものか? 家族とは、兄弟姉妹とは、嫁とは、妻とは、夫とは」
これ皆、永遠のテーマ。

しかし、最後の作品の「梅雨のなごり」
著者が一番言いたかったことはここに全てあるような気がする。
私もこのような、
強くて優しく、日頃は微塵も感じさせないが腕が立ち、謙虚で妹想い、そんな叔父になりたいものである。
読んで損なしの8

    田蔵田半右衛門:
「人は、望みの少し手前で暮らすほうがいいのかもしれない・・」
人に何を言われようとお人よしで謙虚な主人。とある事件を助太刀し80石に加増されても念願の郡奉行を辞退。まったく目立たない今の植木奉行をそのまま続ける。
「人とは、・・・。妻とは、・・・」

    しずれの音:
松の枝に降り積もった雪が 「人でなし!!」と垂(しず)れた。うごけない母を乗せた荷車を方向転換させ雪の中を引き返す。雪に脚を取られすっ転びながら城から急ぎ下がって来る夫。

「人とは、・・・・・」

    九月の瓜:
裃(かみしも)のお奉行が大きな瓜を抱えとぼとぼ歩いている。
それは若かりし頃自分が貶めた親友が作った冬瓜。
「お互い先の見える歳になって、今更15年前の話もなかろう。こうして会えたのは嬉しい、それでよいではないか」

「人とは、・・・・」

    邯鄲(かんたん):
普請奉行添役39石の武士。妻と離縁し、14で農家から奉公に来、二十歳となった召使とふたり。何を間違ったか殿から刺客を命じられるも真剣で立ち合ったことは一度もない。「代々伝わる剣の奥義を10代で授けられた剣士」と言っても、その「心構え」僅か数行のみ。自分が死んだときこの身寄りのない娘はどうなる?

「人とは、・・・」

    うつしみ:
再嫁した先には息子がいる。その後、夫が災害で他界。更に子が嫁を取り女子が生まれるが、母親がすぐに病没。後妻を迎えるが血のまったく繋がらない4人が一つ屋根の下。

「成り行きに任せて望まない結果を見るのが厭なら、女でも言うべきことは言わなければならない」

人とは・・・

    向椿山:
西洋医学を学びに江戸へ。将来を約束した娘は5年後21になる。娘盛りを迎え、更に過ぎようとするもその後連絡はない。多くを学び帰国したとき、娘は・・・

「女とは、娘とは・・・・」

    磯波:
想い、想われた人を妹に盗られ、その人が婿として義弟に。その企みを知った義弟夫婦はその後疎遠に。夫を諦めさせる為に実姉に結婚を薦める妹。

    梅雨のなごり

  説明不要。どっぷり浸れます。

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