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2009年3月15日 (日)

「海坂藩大全 上」 藤沢周平

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文芸春秋 1524
2007
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2007
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著者数多ある著書の中で、「海坂藩」ものを取り集めた大全 上・下本のまずは「上篇」10作品。

そもそもこういう本があること自体知らなかったので驚き、喜んだ。当然ここまでマニアックなものは書店の棚には並んではいない。

皆懐かしい作品ばかりであるが、あらためて読むと結構忘れていることに気がつく。特に結末を。
全て珠玉作、ひと時その時代と世界に浸れ幸せを感じるhappy01。藤沢ワールドに感服。

その後、「下」をamazonで購入したのは言うまでもない。

    暗殺の年輪  (初出:S48.3:

「これぞ 直木賞受賞作!」。これを読むと、近年の受賞作が物足りなくなるのはそれがしだけか?
しかし、これでも本人は作品に納得いかず、「今回の受賞は見送らせていただきたい」と言いたかったらしい。
凄いなー。深みのある作品です。

「誰の差金だ? 葛西だと?知らんな」
「ごめん」(*父の仇、ぶすりっ!)

    相模守は無害  (初出:S49.1)
それがし、この作品大好きでござる。
武士道、忠義、孤独、情、一途、女、全てを網羅した作品。

「名前をお聞かせ申そう。お庭番明楽箭八郎と申す。石切人足の弥之助と言わぬとお解かりにならんかな? よくも公儀隠密をお嬲(なぶ)りなされた」(*ぶすりっ!)

    (そそのか) (初出:S49.8)
「人は日常の規矩で自分を縛るかわりに、その代償として平穏な暮らしを保障されている。だが、一度保障された平安を捨てる気にさえなれば己を縛っていたものを捨てることに何のためらいも持たない・・」(本文より)
うーん、見に詰まる思い

    潮田伝五郎置文 (初出:S49.10)
この女を愛したことはなかった。
「そなたは、七重どのを憎んでいるのだな」
「はい」。
幼い時から慕い愛した女を妻が悟り憎んだ。そして、その愛した女の命を救いながら、死しても憎まれつづけた。決闘で相手を倒し、その後、自ら腹を刺し自害。置文で全てが明らかになる。

いと悲し。これほど悲しいことがあるものか?ここまで純粋な愛が届かない・・・

    鬼気      (初出:S50.10)
所謂「能ある鷹」ですな、それがしもそうありたい。

    竹光始末    (初出:S50.11)
映画「たそがれ清兵衛」の重要どころで、この小説の一部分が使われている。
これも武士特有の「情」という意味で、いい作品である。

「何か武芸の嗜みは?」「は。いささか小太刀を嗜みます」
*それがしも、このように全てに謙虚でありたいものだ。

    遠方より来る  (初出:S51.1)
「“人”としてこうありたいものでござる」と思わせる作品。

    小川の辺    (初出:S51.5)
「新蔵、それは何の真似だ?」。新蔵は脇差を抜いていた。田鶴を斬ったら、俺に斬ってかかるつもりだったか?

    木綿触れ    (初出:S51.7)
この作品には泣かされました。憎き中台、「あなたは、人間の屑だ」(*シャキーン)
それにしても、最後が悲しい。

    小鶴      (初出:S52.12)
「かぐや姫」を思い出させます。ずっとこの家の娘で居てくれればよかったものを・・・

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