藤沢周平

2009年3月22日 (日)

「海坂藩大全 下」藤沢周平

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文芸春秋 1,524
2007
115 1

藤沢周平著 海坂藩(架空の藩)を題材にした大全の「下巻」、11作品集。
「東北の小さな藩の中で、男たちは志を貫こうと苦悶し、女たちは胸に熱い想いを秘める」

何度読み返しても感動する作品ばかり。
不器用で、けなげで、痛々しい侍。それを陰で支える母・妻・娘・女。
このような「侍魂」をそれがしも引継ぎ、今の世でも持ち続けていきたいものでござる。

この「大全 上・下巻」は、文庫本1冊1冊を読むのとは明らかに異なる。話が変わっても海坂を継続しながら1つ1つの作品を堪能できる。
更に、書棚に藤沢作品がまた2冊増えたことが、なんとも嬉しい限りで御座る。

    「梅薫る」 S53.4月:
何とも、男気、侍を感じさせる。こういう肝の据わった大きな侍でありたい。

    「泣くな、けい」 S53.8月:
この作品、この上なく大好きです。
武家の主と奉公人の強い絆。この結末、けいでなくとも、恐れながらそれがし泣いちゃいます。
「こういう作品はいいな-・・・、人間こうありたい!」

    「泣く母」 S54/4/27
まったく! 人が良過ぎて泣いちゃいます。

    「山桜」 S55.2月:Photo_2
これは昨年映画になりました。あの映画は結構原作に忠実です。
そういえば、最後あのシーンには泣かされました。原作も、映画も最高です。
多分これは、世界広しと言えども日本人にしか解からない感情・感覚かもしれない。
こういう心を持ちたいものです。

    「報復」 S56.4月:
そうだ、そうだ、やれやれ!!やってしまえーっ!!! 
(本文より)「下男には下男のやり方がある。足をふみしめると、最後の一撃を木に打ちこんだ。」
出来ることなら、そのまま逃げ去って欲しかったが・・・・
これも、主と奉公人の深い絆。泣けます!

    「切腹」 S58.2月:
悔しい!しかし、悔しい。まったく悔しい。
ああ・・、侍のなんとも潔さよ。そして、絆の深さよ!

(本文より)
「さればといって、見殺しにしては武士の一分が立たぬ」
甚佐衛門はきっぱりと言うと、呆然と立っている作蔵を見た。
「わしにも、握り飯を馳走してくれぬか」

*この一文に「ぞくっ」とさせられる。
我もこうありたい!

    「花のあと」 S58.8月:
これは面白い、そして如何にも寛大である。男子たるものこうありたい!
(本文より)
「この際だから聞いておくが、・・・、・・・・・。」
「あの男と、何かあったのか?」
「何にも。ただ一度、試合をしていただいただけでございますよ」
「ほう、一度だけ?試合を?」
「どうせ、そのようなことだろうと思った」
「・・・」
「では、行って来る」

*このやり取りが、なんとも面白いのである。侍・夫の見栄と、実直な剣士・妻、笑っちゃいます。

    「鷦鷯(みそさざい) H2.6月:
討手として現れたのは憎まれ金貸しの倅、そして先日出遅れた娘にちょっかいを出していた若侍。
これから踏み込もうとする際、娘の父親に向け一言、
「品どのはお変わりありませんか」
「そのふやけた顔をひきしめろ」と叱咤。

このなんともいえないユーモアは、藤沢作品ならではのもの。面白いよなー


    「岡安家の犬」 H5.7/22
それがしなら、何があろうと絶対許さないけどなー。
さすがに110石を頂く家柄、それがし 平侍とは心の広さが違う。

    「静かな木」 H6.5月:
これは年齢を重ねないと書けない作品ですね。
ふと気になり調べてみた。著書67歳の作品。「やっぱり・・・」。
実に説得力がある。
(本文より)
福泉寺の欅も、この間吹いた強い西風であらかた葉を落としたとみえて、空にのび上がって見える幹も、こまかな枝もすがすがしい裸である。
-あのような最期を迎えられればいい。
木の真実はすべての飾りをはらい捨てた姿で立っている、今の季節にあるという感想を捨てきれない。ただしそれは老年の感想というべきものかも知れなかった。
この後3年で、著者は亡くなっている。合掌

    「偉丈夫」 H8.1月:
これ、面白いなー、そして、実に奥深い。
著者 亡くなる1年前に書いた作品。
自らを投影しているのかもしれない。

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2009年3月15日 (日)

「海坂藩大全 上」 藤沢周平

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文芸春秋 1524
2007
115 1
2007
2  5 2

著者数多ある著書の中で、「海坂藩」ものを取り集めた大全 上・下本のまずは「上篇」10作品。

そもそもこういう本があること自体知らなかったので驚き、喜んだ。当然ここまでマニアックなものは書店の棚には並んではいない。

皆懐かしい作品ばかりであるが、あらためて読むと結構忘れていることに気がつく。特に結末を。
全て珠玉作、ひと時その時代と世界に浸れ幸せを感じるhappy01。藤沢ワールドに感服。

その後、「下」をamazonで購入したのは言うまでもない。

    暗殺の年輪  (初出:S48.3:

「これぞ 直木賞受賞作!」。これを読むと、近年の受賞作が物足りなくなるのはそれがしだけか?
しかし、これでも本人は作品に納得いかず、「今回の受賞は見送らせていただきたい」と言いたかったらしい。
凄いなー。深みのある作品です。

「誰の差金だ? 葛西だと?知らんな」
「ごめん」(*父の仇、ぶすりっ!)

    相模守は無害  (初出:S49.1)
それがし、この作品大好きでござる。
武士道、忠義、孤独、情、一途、女、全てを網羅した作品。

「名前をお聞かせ申そう。お庭番明楽箭八郎と申す。石切人足の弥之助と言わぬとお解かりにならんかな? よくも公儀隠密をお嬲(なぶ)りなされた」(*ぶすりっ!)

    (そそのか) (初出:S49.8)
「人は日常の規矩で自分を縛るかわりに、その代償として平穏な暮らしを保障されている。だが、一度保障された平安を捨てる気にさえなれば己を縛っていたものを捨てることに何のためらいも持たない・・」(本文より)
うーん、見に詰まる思い

    潮田伝五郎置文 (初出:S49.10)
この女を愛したことはなかった。
「そなたは、七重どのを憎んでいるのだな」
「はい」。
幼い時から慕い愛した女を妻が悟り憎んだ。そして、その愛した女の命を救いながら、死しても憎まれつづけた。決闘で相手を倒し、その後、自ら腹を刺し自害。置文で全てが明らかになる。

いと悲し。これほど悲しいことがあるものか?ここまで純粋な愛が届かない・・・

    鬼気      (初出:S50.10)
所謂「能ある鷹」ですな、それがしもそうありたい。

    竹光始末    (初出:S50.11)
映画「たそがれ清兵衛」の重要どころで、この小説の一部分が使われている。
これも武士特有の「情」という意味で、いい作品である。

「何か武芸の嗜みは?」「は。いささか小太刀を嗜みます」
*それがしも、このように全てに謙虚でありたいものだ。

    遠方より来る  (初出:S51.1)
「“人”としてこうありたいものでござる」と思わせる作品。

    小川の辺    (初出:S51.5)
「新蔵、それは何の真似だ?」。新蔵は脇差を抜いていた。田鶴を斬ったら、俺に斬ってかかるつもりだったか?

    木綿触れ    (初出:S51.7)
この作品には泣かされました。憎き中台、「あなたは、人間の屑だ」(*シャキーン)
それにしても、最後が悲しい。

    小鶴      (初出:S52.12)
「かぐや姫」を思い出させます。ずっとこの家の娘で居てくれればよかったものを・・・

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2009年1月 1日 (木)

「ふるさとへ廻る六部は」 藤沢周平

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新潮文庫 590円

平成  751 発行
平成20420 17

基本的に、どの著者のものでも「エッセイ集」と言うものはあまり好まない。が、同著者の未読本が無くなった為、文春文庫「半生の記」に引続き2冊目のエッセイ集を読んでみた。

この本は結構前に購入していた。が、1編1編が短く&次へ次へとそそられるものがない為、ベッドの枕もとの本たちの間に挟まれ積まれ、気が向いたときに読む本になり下がっていた。



さて、このエッセイ集、著者の日常生活&生まれ故郷などを知るには面白い本である。
特に今回意外な発見があった。本の後半で知ることになるのだが、著者の血液型は
B型なのである。「へー???」、結構意外だったりする。しかし、この事実を知ってから著者のエッセイの中の行動を思い返してみると納得する部分が多々ある。そうです、それがしと同じ血液型!共通する部分や思わず納得する部分があり「苦笑い」の1冊。

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2008年12月20日 (土)

「麦屋町昼下がり」 藤沢周平

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文春文庫 514
1992
310 1
2006
2 5 25

今夜12/20NHK「時代劇スペシャル」で藤沢周平さんの小説がドラマになるとのことで、昨年AMAZONに投稿した記事を引っ張り出してきた。

内容はすっかり忘れていたが、自分の感想を読んで思い出してきた。この本に収録されている4編の中でも、特にこのドラマの原作「榎屋敷宵の春月」は面白かったようだ。そうだ、思い出してきた。「そうそう、この内容凄かったんだ、最後がなんとも・・」

以下、AMAZONへ投稿したこの本の感想記事。ドラマの原作は4番目

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2007/3/19
珠玉の4作。特に「榎屋敷宵・・」のお内儀剣士は最高!

私の好きな「これぞ武士、これぞ時代劇!」という短編4作。 

「麦屋町昼下がり」 
でたー!久々に“秘剣”もの(ヨッ!寅ッ!待ってましたー!)。 
―「不敗の剣」― 
天賦の剣才も、この“秘剣”さえあれば・・・・・ 
え?呑んじゃって大丈夫?  

「三ノ丸広場下城どき」 
そうだ、殺っちゃえ、殺っちゃえ! 
いくら身分が違えども、 
「お主、何たるものぞ。それがしの剣を受けてみよ!」 

「山姥橋夜五ツ」 
武士として、これは辛いでしょう? いくら妻が潔白でも・・。 
「武士の一文」をチラッと思い出しました。 
最後の3行はほんのちょっとの藤原流お色気、安心、安心。 

■「榎屋敷宵の春月」: 
久々の女剣士もの、しかもお内儀。 
女性で、剣が強くて、しかも人妻(350石のお偉い旦那は気弱)。 
しかも刺客を遣っ付けちゃうんだから気分爽快。 
旦那をにらめつけて戦いに行っちゃう所がすごい! 
ここまで強い内儀キャラは、藤原作品で読んだことがない。

NHK時代劇スペシャル「花の誇り」

【放送日時】総合テレビ 20081220日 午後9時~1027

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■番組のあらすじ

 田鶴(瀬戸朝香)と三弥(酒井美紀)はお城で行儀見習いをした友だちだった。田鶴は兄の新十郎(山口馬木也)が若くして切腹した理由を、兄と相思相愛だった三弥にふられた為だと思っていた。 それから十数年後。田鶴の婿・織之助(田辺誠一)と、三弥の夫・宗方惣兵衛(葛山信吾)が家老の座を争うことになる。三弥だけには負けたくない。田鶴は気弱な夫の尻を叩く。そんな折、田鶴が刺客に襲われた旅の侍を救う。田鶴は小太刀の名手だった。旅の侍、関根(山口馬木也・二役)は兄とそっくりで、藩内の不正を暴く密書を携えていた。やがて田鶴は筆頭家老(石橋蓮司)の陰謀の渦に巻き込まれてしまう。秋祭りの夜、関根はおびき出され、護衛の家士(河合龍之介)ともども殺される。家士と客人の仇を討つ! 田鶴の行く手に、三弥が立ち塞がる――。

【原作】藤沢周平「榎屋敷宵の春月」(「麦屋町昼下がり」所収)
【脚本】宮村優子【演出】吉村芳之(NHKエンタープライズ)
【出演】瀬戸朝香 酒井美紀 田辺誠一 山口馬木也 葛山信吾 
大谷亮介 松金よね子 遠藤憲一 石橋蓮司 ほか

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2008年12月 3日 (水)

「密謀(下)」 藤沢周平

新潮文庫 514円
昭和60年9月25日発行
平成20年3月15日58刷

昭和57年 毎日新聞社より刊行

亡き著者55歳の作品。
来年の大河ドラマ 直江兼続の「天地人」がまさにこの本の内容。その影響で今また脚光浴び、本の帯も新しくなって、さぞや著者も喜んでいることでしょう。 

また、同郷で、且つ、直ぐ近くに春日山城がありながらも、全く上杉謙信、景勝、直江兼続の知識が無かったそれがしも、しっかりお勉強させていただきました。感謝 感謝!

更に、歴史が大嫌いなそれがしでも、大いに楽しめました。

これでもか!これでもか!!と言うくらいに戦国武将が出てきます。時代小説が好きでも、歴史上の人物が登場する本が大嫌いで今まで避けてきた分、当然全く無知だった部分にたっぷり知識が蓄積されました。

そうか、豊臣秀吉はこういう人物で、織田信長はこうで、徳川家康はこんなやつだったか?

更に、石田三成がこうで、上杉謙信、景勝の「義」とはこうで、直江兼続はこんなだったか?

そうこう言いながら、

この(下巻)はワクワクしながら読みました。さすがは藤沢周平さん、この人の本でなければ絶対に読んでなかったことは言うまでもない。

更に、最後ほのぼのさせてくれる場面は、この著者独特のもの、思わず苦笑いhappy01

火坂雅志著「天地人」NHK出版 とは全く違った、小説家 藤沢周平の世界が堪能できます。

■お薦め度:★★★★★(戦国武将がほとんど出てくることを覚悟の上で読んで下さい。でも、超お薦めです)

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2008年11月17日 (月)

「密謀(上)」 藤沢周平

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新潮文庫 590円
昭和60年9月25日発行
平成20年8月5日62刷

「藤沢周平作品 読破」、の最後を飾る作品はこの小説。

と、言っても 上・下巻の今回は「上」。*昨夜から下巻に移行している。

更に、同著者エッセイ「ふるさとへ廻る六部」は併読中で残り1/3あり。でも、直ぐ読み終わるでしょう。

大量にある藤沢周平著書の中で、「何故この本が最後か?」というと、
実は勘違いしていた。既読、と。

本屋さんの棚には著者の本がずらーと嬉しくなるように並んでいる。その中からその時の気分で、市井もの、武家もの、歴史人物ものを購入していた。今回の上・下本は、講談社「市塵 上・下」と、ぱっと見よく似ている、だから最後の最後になってしまったという経緯がある。しかも、私の苦手とするところの歴史人物もの(エッセイも同じ)。Photo_2

しかし、最初のページ、1行目から驚いた。
何と!それがしの故郷の地名が載っているではないか・・・、
「妙高」、あららら・・。これにはびっくり。

そうか、これは上杉謙信以下、上杉景勝と直江兼続の歴史小説かぁ・・・・。

それにしても、出てくる名前がものすごい。
豊臣秀吉、織田信長、徳川家康、上杉謙信、織田信長、石田三成、その他諸々。その昔、習った戦国武将の名がずらずらだー。こりゃ参ったなー。
しかし、そこは藤沢作品。やはり上手い!頭を整理していくとぐいぐい引き付けられていく。
しかも、

それがしがこの本を読み始めると、何と、本屋に「直江兼続」の本が沢山出ていることに気がついてきた。併読大好きですから次々と買ってしまう。今じゃ「上杉謙信、景勝、直江兼続」のことなら何でも聞いてくれ!と言う感じにまでなって来た。
そして、その謎が解けてきた(遅い?)

そうか、来年1月からはじまるのNHK大河ドラマは「天地人」、主人公は直江兼続だって!そりゃ本も沢山出るはなー。そうかそうか、それじゃまたそれがしの田舎の春日山城も賑わうってことだな。ここ2年、謙信公でGACKTさんが見参し地元が観光化したかと思えば、今度は妻夫木聡:直江兼続かー、凄いなー、一気に観光地化だー

2009年の大河ドラマは「天地人」!
原作:火坂雅志、脚本:小松江里子。放送は2009年1月から1年間。

http://www.nhk.or.jp/drama/html_news_tenchi.html

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2008年10月 9日 (木)

「静かな木」 藤沢周平

Photo新潮文庫 362円

平成12年9月1日発行
平成19年9月25日22刷

著者は69歳で亡くなられたが、最後の長編は私の好きな竹俣当綱の「漆の実のみのる国」。そして短篇は、この中に収録の「最後の短篇」と銘打たれた作品「偉丈夫」。

短篇3編

・「岡安家の犬」:h5年週刊新潮発表

     「静かな木」:h6年 小説新潮

     「偉丈夫」:h8年 小説新潮

この著者の数ある文庫の中で、一番薄く、一番安い文庫本。
その理由から読むのを長年躊躇っていた。そして
、まさかこの中の「偉丈夫」が最後の短篇であったとは知らずにいた。

しかし、中身は素晴らしい。文学は原稿の枚数ではない。たかだか50ページの短篇でも、さらに「偉丈夫」など12頁しかない。それでも内容が濃くしっかり感動させられる。素晴らしい本であった。

あらためて、「そうか、これが藤沢周平さん最後の短篇かー、感慨深いな」think

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2008年9月28日 (日)

「新装版 決闘の辻 藤沢版新剣客伝」 藤沢周平

Photo講談社文庫 619円
2006年11月5日1刷
2008年 4月1日6刷
昭和60年7月刊行



歴史に名を残した名剣客の決闘シーンを描いた5篇。
歴史人物が大嫌いなそれがしでもこの著者にかかればついついのめり込んでしまう。宮本武蔵以外は初めて聞く名だが、藤沢周平さんの剣描写に有名無名もない、どの剣客も身近に感じてしまうほど、さすがにうまい。

■「ニ天の窟〔宮本武蔵〕」:
そうか、武蔵も歳をとって弱くなっていたのか? 「五輪書」が読みたくなった。

■「死闘(神子典膳)」:
この決闘シーンは壮絶であった。しかし、その後が面白かった。女は強いなー、魔物だなー

■「夜明けの月影(柳生但馬守宗矩)」:
心技体の描写がすごい、息詰まる。藤沢周平さんほんとうに上手いなー、感心しっぱなし。

■「師弟剣(諸岡一羽斎と弟子たち)」:
なんとも師弟の素晴らしさよ、今の世じゃあり得ないな。

■「飛ぶ猿(愛洲移香斎)」:
こういうのが藤沢周平さんの親しまれるところ、いいなー。しかし、侍もここまできっぱりしていると心地よい。

*お薦め度(★★★★☆)
題名が題名だけに手に取りにくいが、読み始めたら実在の人物を知らなくとも一気に行きます。心配ご無用

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2008年8月30日 (土)

「雲奔る 小説・雲井龍雄」 藤沢周平

Photo文春文庫 476円
1982/11/25 第1刷
2007/8/15 第22刷
単行本「檻車墨河を渡る」昭和50年 文芸春秋刊を改題

この本は、
非常ーに、かなり、とても、難しいdespair

幕末~大政奉還、明治維新と、時代が激変するこの時代に、全国諸藩はじめかの有名なそうそうたる人物が次から次へ、次から次へ、次から次へと登場する。
「江戸時代が明治に変わる」という大混乱期、東北の片田舎、米沢の一藩士が正義を心に奔走する内容。

2003年の映画「ラスト サムライ」が頭をよぎった。

「雲井龍雄」という人物は、藤沢周平さんの本を読んでいなければ知らずに一生を終えていたことでしょう。学校の歴史授業にも多分出てきていない人物です。多分。

しかし、「“歴史”嫌いで“時代小説”好き」のそれがし、
少しづつではあるが(かなり?)、「幕末~明治維新」にふつふつと興味が沸いてきた。禄を食んでいた「侍」が「侍」でなくなる転換期、「侍」は今で言う「丁髷公務員」ですから。第二次世界大戦後の日本と同じような衝撃(大混乱と思想転換)がこの時代あったのでしょう、嵌りそうだー、ヤバイ

考えてみると、よくこの内容を纏め上げたなーと感心する。これはものすごい重労働。著者48歳の作品であるが、多分若くないと出来ない仕事であっただろうと想像する。感服ものでござった!bearing

■ストーリー:
米沢藩士。俊才。江戸が東京に変わる幕末~明治維新の混乱期、「討薩ノ檄」を懐に奔走した27年の短い悲劇の志士を描く異色長篇。

人物紹介:http://www8.ocn.ne.jp/~yozan/rekisi/kumoi.html

■お薦め度:★☆☆☆☆(難しいです、辛抱が必要です。心して読んでください)

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2008年8月20日 (水)

「長門守の陰謀」 藤沢周平

Photo
文春文庫 438
1983/ 9/25
 第1
2004/ 9/25 
25
単行本 昭和532月立風書房刊

史実に残る庄内藩の世継ぎ事件「長門守事件」を表題に、著者50歳で書いた5篇収録。
中でも「「夢ぞ見し」は、何度読み返しても実に面白く笑える。



■「夢ぞ見し」:
夫が江戸で世話になったという人が急に訪ねてきた。四六時中家の中でごろごろしているその若者が、まさか天下の・・・とは知らず、その内儀の行動が非常に笑える。ふと、遠山の金さんの若かりし頃を思い出した。実に面白い内容。また、著者の上手さを実感する

     「春の雪」:
女子は今も昔も謎だ

     「夕べの光」:
これは著者得意の血の繋がらない親子人情もの。全くいい人過ぎて泣けちゃいます。

     「遠い少女」:
しかし、「女」言うものは今も昔も恐いぞ! あのころの少女と思ったら大間違い!騙されるな!!純朴・純粋な若旦那。懐かしむのは頭の中だけにしておけ、相手は既に別の人間だ。

     「長門守の陰謀」:
こういう事実がその昔あったんだなー、江戸の時代も大変だー。


*おまけのおまけ:
この本が「藤沢周平作品」読破の、最後の最後になった理由:
①「歴史事実もの」が何より大嫌いだったためです。
②また、薄い本ではありながら(全220ページ)、438円もすることが許せなかったからである。

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